
近隣の地域に出かけて鉄製の農具(主に鍬)の製造・修理を行った「野鍛冶」に焦点を当てた稀有な専門書。近世以降、彼らはどのような職人集団として機能していたのか。東海地方における「大野鍛冶」、近畿地方における「紀州鍛冶」を主な対象として、輩出地域と受容地域の双方における詳細なフィールド調査をもとに、その地域的展開と集団構造を解明。さらに、アイルランドにおける鍛冶と鋤の研究史を整理することで、より広い視野からの分析を試みる。 序 章 【第1部 研究史】 第1章 辞典の記述を通してみた日本における鍛冶に関する研究の蓄積 第2章 日本における鋳物師と鍛冶に関する研究の進展 第3章 アイルランドにおける鍛冶と鋤の研究史 【第2部 東海地方における大野鍛冶の地域的展開】 第4章 三河と尾張における鍛冶集団 第5章 大野鍛冶と「江州辻村」の鋳物師と鍛冶 第6章 19 世紀以降の大野村とその周辺地域における鍛冶 第7章 東春日井郡における大野鍛冶の地域的展開 【第3部 近畿地方における紀州鍛冶の地域的展開】 第8章 『農具便利論』の「農具鍛冶」と「其処の鍛冶」 第9章 京都府における野鍛冶の地域的構成 第10章 船井郡における紀州鍛冶 第11章 京都府の山城における紀州鍛冶 第12章 奈良県における紀州鍛冶 【第4部 紀州鍛冶の集団構造と輩出地域の構成】 第13章 文政期以降の南部川流域における紀州鍛冶 第14章 安政期の山城とその周辺における紀州鍛冶の分布 第15章 紀州鍛冶に関わる受容地域の構成 第16章 田辺領における鍛冶仲間と「出張稼」 第17章 田辺領における本役鍛冶の稼ぎ場地域 第18章 新宮領における野鍛冶と紀州鍛冶 終 章
- ISBN:
- 9784772242219