
彼らは、不妊をどう経験するのか なぜ男性の不妊は語り得ないのか。その背景に何があるのか。男性本人とそのパートナー、さらには泌尿器科医へのインタビューで得た当事者の語りをもとに考察。男性不妊を「妻の問題」として、男性個人にとっての身体の問題としてではなく、「夫婦関係の問題」として捉え直し、いまだ根強い「不妊は女性の問題」というジェンダー・バイアスに楔を打ち込む。 序 章 本書の背景と目的 1 男性不妊に対する社会のまなざし 2 男性不妊はどのように語られてきたか 3 本書の構成 第1部 第1章 男性不妊の医療化と専門医の台頭 1 男性不妊治療の実際 2 専門医としての泌尿器科医 3 関連用語の説明 第2章 先行研究と本書の位置づけ 1 男性不妊の当事者を対象とした研究 2 批判的検討と課題の設定 3 理論的視座 第3章 対象と方法 1 調査対象 2 調査方法 3 分析方法 第2部 第4章 男性は自らの不妊をどのように経験するのか --夫の経験の考察 1 男性不妊治療という経験 2 男性不妊にまつわる困難や葛藤 3 男性不妊の経験による認識の変化 4 男性が不妊治療を受けるということ 第5章 不妊治療における男性身体の意味づけ --身体経験の考察 1 「身体経験」とは何か 2 不妊をめぐる男性身体の「社会的構築」 3 夫婦で経験する「無精子症」 4 不妊治療の場におけるジェンダーの作用 第6章 女性は夫の不妊とどう向き合うのか --妻の経験の考察 1 妻の経験を捉える意味 2 男性不妊の夫をもつ女性たちの語り 3 男性不妊の夫をもつということ 第7章 男性不妊の開示をめぐる夫婦の戦略 1 男性不妊はいかに開示されてきたのか 2 ゴフマンのスティグマ論 3 家族間における男性不妊の開示状況 4 男性不妊をめぐる家族外への情報操作 5 開示をめぐる夫婦の戦略とジェンダーの再生産 終 章 現代日本の男性不妊 1 今日の日本社会における男性不妊の位置づけ 2 生殖をめぐるジェンダー平等に向けて あとがき 文 献 事項索引 人名索引
- ISBN:
- 9784771034723