
文芸批評の名著『透明と障害』と対をなす、著者最晩年に刊行されたルソー論。『社会契約論』や『エミール』『夢想』の作家が、堕落した文明社会を激しく告発し、原初の幸福へと誘惑することで多くの熱狂的読者を獲得した行程を、新しい雄弁とレトリックの創造に注目して鮮やかに描き出す。民主主義と近代文学の時代はいかにして開かれたのか? 大批評家の本領が発揮された好著。 徳の憤慨 第一部 真実を語ること 1 あなた方はどうなってしまったのか? 明るみに出された起源 オートフィクション 絵画と額縁に収まった絵──事実、推論 ヴォルテールに抗して 雄 弁 2 偶像破壊論者のアトリエ 見ること、見られること、自分が見られていると思うこと 比較される感覚分野 イメージに富んだジレンマ 否定性の文彩──『学問芸術論』 3 ルソーと雄弁 4 スタール夫人とルソー ──感情の権威 第二部 喪失、方策 5 国外追放の詩人 「わたしの辞書をもっと学んでください」 暗号と激情 6 信条の選択 自然の無垢 盗まれたリボン事件と裁判の雄弁 真実と嘘──グローティウス、プーフェンドルフ、アウグスティヌス 再翻訳の訓練 第三部 人間は自由な者として生まれた 7 人間の権利 8 恐怖を乗り越える 9 草上の朝食と社会契約 第四部 ことばと音楽 10 『言語起源論』 エピローグ ジャン=ジャック・ルソーに贈る花束 ポスト・スクリプトゥム(追伸) 忘れられたテクスト「徳についての手紙」 原 注 訳 注 訳者あとがき 引用文献 人名索引
- ISBN:
- 9784588011061