
“「さよなら」だけが人生だ”とはいうけれど、“出会い”もまた人生なのだ。「独自の人生」を生きた人々の、“出会い”が紡いだ珠玉の物語。 (著者はじめにより) 井上靖にこんな文章があります。 自分が歩んで過去を振り返ってみると、何とたくさんのすばらしい一生に一度の出会いがあることか。 人間にしろ、美術品にしろ、言葉にしろ、所詮はみな出会いである。(以上、『わが一期一会) 私事ながら、私もまた数多くの出会いを重ねてきました。プライベートな経験とともに、テレビや出版や大学教育という仕事に関わる中で、多彩な人物たちとの出会いを経験してきました。また、 一連の拙著の中で『霊園物語』や『墓碑をよむ』などのシリーズや『デュオする名言』などでは、まことに多くの人物を取り上げ、さまざまな関係者に取材しましたが、あらためてその人物たちや、紙幅の関係で割愛した多くの人物たちの関連資料を渉猟してみると、実に多彩な出会いの人生が浮かび上がってきました。そこには心に深く届く感動の物語や滋味あふれる人生模様がありました。 井上靖も語っていたように、まさに“人生は出会いだ” “出会いが人生を創る” という感懐に浸ることになりました。そしてその出会いは、人との出会いに限られるものでなく、モノであったり作品であったり、あるいは言葉であったり機会や事件であったりしました。 そこで、これまで書いてきた著作や紙幅の関係でとりあげられなかった人たちの分を含めた膨大な資料のほかに、新たなリサーチや取材を加えて、“出会い”を切り口にさまざまな人間の物語を探し、綴ってみることにしました。 はじめに 第一章 人生を変えた出会い 高倉健と山田洋次 鶴田浩二と山田太一 殿山泰司と進藤兼人 第二章 人生を決めた出会い 中勘助と夏目激石 笠智衆と小津安二郎 志村喬と黒澤明 第三章 心友という絆 斎藤茂吉と吉井勇 鈴木大拙と西田幾多郎 池島信平交友記 西郷隆盛と勝海舟 第四章 我が師、我が道 河合栄治郎と美濃部達吉 矢内原忠雄と新渡戸稲造 朝永振一郎と仁科芳雄 小林正樹と會津八一 第五章 「自然」と出会う 尾崎喜八 高原歴日 西郷隆盛と南島 H・D・ソローとウォールデン 野上弥生子 山よりの手紙 第六章 「機会」と出会う 堀内敬三とミシガン大学、MIT大学院 河合隼雄とカリフォルニア大学ロサンゼルス校 柳宗悦と朝鮮美術 松方幸次郎とロンドン 佐野常民と国際赤十字 第七章 “持芸”と出会う 徳川夢声と『宮本武蔵』 東野英治郎と『水戸黄門』 渥美清と『男はつらいよ』 森光子と『放浪記』 第八章 奇縁済々 大宅壮一と米騒動 鈴木大拙と二人の創業者(安宅弥吉、出光佐三) 山本周五郎とJ・A・ストリンドベリイ 種田山頭火とG・R・ギッシング ウオーレン・シュミットとタンザニアの少年の物語 アリアナ・ファフィントンと“事件” あとがき 参考文献
- ISBN:
- 9784885464515