
がんの診断・治療は格段の進歩を遂げ,がんは不治の病ではなくなった。しかし,がんを患う時,人々は同時に嘘と秘密を抱えざるを得ない。患者に病名を告げることが普通になっても,再発や余命については家族によって秘密にされることもある。職場や地域ではがんであることを隠しているという患者もいる。そこで生まれた嘘や秘密が,患者と家族,医療者や支援者の苦悩を深めている。 本書は,がん医療の現場にある嘘と秘密を切り口に,がんがもたらす苦境をより深く理解し,がん治療に臨む患者と家族を支えるために何ができるかを考える。長くがん医療に携わってきた二人の医師による,より細やかなケアを実現するための試み。 第1部 嘘と秘密 第1章 ウェクスラー家の嘘と秘密 第2章 遺伝性腫瘍と嘘と秘密 第3章 謎が秘密になる前に、沈黙が嘘になる前に 第4章 医学の視点、人々の視点 間 奏 第2部 がん医療における嘘と秘密 第5章 病名告知と余命告知 第6章 ウィッグとストマ 第7章 返答に困る言葉と謎 第8章 沈黙の諸相 コーダ 「待っている時間」を読む
- ISBN:
- 9784866161471