本稿における中心的なテーマとなっている日本における「DV冤罪」については、今でこそ国会でも採り上げられ、理不尽な親子断絶を防止するための法案も提出されようかという情勢にもなりました。しかし、本稿を執筆した当時、当該問題に関する社会的実態はすでに浮かび上がってはいたものの、問題状況の解明はまったくと言ってよいほど手が付けられてはおらず、問題に直面した当事者たちはただただ途方に暮れる状況でした。したがって、本稿は、当該問題がどのような性格を帯びた問題であり、その問題を何とか乗り越えようとするためにはどのような方向性を進むべきなのか、不完全ながらも整理し示すことを目的として書かれました。 今回書籍化にあたって、内容そのものは、概ね当時の原稿のままです。なので、参考文献については加筆修正を加えましたが、古いものも残っています。また、文中に出てくる具体的な支援団体等についてもその後消滅し現在は存在しないものも有ります。 ただし、本稿に記述された問題状況そのものは現在もまだ存在し続けており、未だに社会的解決には至っていません。また、本稿で示された問題状況の分析と社会的解決に向けた方向性については現在もなお一定の有効性を持ち得ていると考えています。  なお、今回「あとがき」を加え、当該問題の現状を踏まえ、補足すべきコメントを示しました。また、本稿では「DV冤罪」の問題を採り上げていることもあって、「父子の引き離し問題」との表現を使用しましたが、母子の引き離し被害に合う当事者も一定数存在しており、「親子の引き離し問題」が本質的問題であることを申し添えます。

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