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『私の妻は62歳のとき交通事故に遭い、一命は取りとめたものの全身麻痺となりました。以来、話すことも、食べることも、身体を起こすことも、寝返りを打つことも、指先や足先を動かすこともできず、ベッドの上で仰向けになったまま闘病生活を続けています。唯一、妻が自分の意志で動かすことができるのは、瞼だけなのですーーーー』そんな書き出しで始まる手紙が筆者のもとに届いたのは2008年のことだった。差出人は富山市に住む松尾幸郎さん(当時73歳)。最愛の妻・巻子さんとは唯一動かすことのできるまぶたを使い、会話補助器を使ってわずかな会話を交わしているという。しかし、ある日、文字盤に現れたのは、『こ ろ し て く だ さ い』という8文字だった…。初孫を再び抱くこともかなわぬまま、一瞬の事故によって奪われた穏やかな日々。理不尽な司法制度や医療制度、矛盾に満ちた保険業界の対応に直面しながら、夫婦は生と死の狭間で互いを思いやり、『尊厳ある死とは何か』という問いに向き合い、8年という歳月を生き抜いた……。NHKでドキュメンタリードラマ化された前作『巻子の言霊』(講談社・2010年刊)に、その後の4年間と永遠の別れ、そして加害者との最初で最後の対面までを加筆した完結編。

Price¥2,046
出版情報デザインエッグ株式会社柳原三佳/扇田麻里子

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