
彼女たちはいかにして「スター」となったのか。なぜ彼女たちでなければならなかったのか。原節子と京マチ子を中心に、スクリーン内で構築されたイメージ、ファン雑誌などの媒体によって作られたイメージの両面から、占領期/ポスト占領期のスター女優像の変遷をつぶさに検証し、同時代日本社会の無意識の欲望を見はるかす、新鋭のデビュー作! 序章 映画スターと日本の〈戦後〉1 映像体験の彼方2 不純な「スター女優」3 映画スターの誕生第一章 スター女優の時代ーー戦後日本の映画スターダム1 戦後の日本映画ーー占領政策/大衆娯楽2 戦後の映画観客と国民的映画3 女性の身体へのまなざし4 ファン雑誌というメディア5 スター女優の変遷第二章 躍動する身体ーー原節子の反ー規範的な身振り1 国家の記号(ナショナル・シニフィアン)としての原節子2 『わが青春に悔なし』における受容3 黒澤明の映像表現4 若者観客と誇張された〈青春〉5 原節子の烈しさとエロス6 戦中映画における原節子の「モダニズム」7 潜在化するモダニズム的感性8 メディア・テクストとしての原節子第三章 接触する身体ーー京マチ子の〈情動的身体〉1 肉体派女優としての京マチ子2 初期映画におけるプロモーション3 戦後のヴァンプ女優ーー「陽性」のエロティシズム4 循環する肉体ーー京マチ子の「脚」の表象5 暴力的な肉体の強度6 メディア・テクストとしての京マチ子7 京マチ子の両義的な身体イメージ8 敗戦のヒロインーー接触/切断第四章 敗戦のスター女優ーー原節子の〈離接的身体〉1 映画スターを解剖する2 占領期におけるスクリーンの原節子ーー一九四六ー一九四九3 戦後の新しい女性イメージーー「理知性」と「意志」4 原節子のスターペルソナーー「孤立」するパフォーマンス5 「敗者の身体」--パンパンと「接吻映画」6 〈抵抗〉する潔癖な身体7 アメリカ映画とイングリッド・バーグマン8 敗戦のヒロインーー離接性/超越性第五章 ポスト占領期における古典美ーー京マチ子の「静の演技」1 国際派女優の誕生ーー『羅生門』の衝撃2 『地獄門』の快挙ーー製作と受容3 「国際派グランプリ女優」のパフォーマンス4 日本の理想と西洋の欲望ーー『長崎の歌は忘れじ』と『八月十五夜の茶屋』5 京マチ子の言説変容ーー重厚感と格調第六章 ポスト占領期における〈屈服〉--原節子の〈超越的身体〉1 喪われた伝統美ーー『晩春』の原節子2 変遷する指導者ーー『白痴』と『白雪先生と子供たち』3 『麦秋』における〈集合的記憶〉4 「戦争未亡人映画」としての『東京物語』5 『めし』における共犯的イデオロギー終章 聖女と魔女ーー原節子と京マチ子1 「永遠の処女」と「肉感的な魔女」2 〈理想化の時代〉の終焉3 〈日常性の時代〉の原節子と京マチ子註あとがき
- ISBN:
- 9784861826511