
Vシネマ -- 1990年代、レンタルビデオ店を主戦場に百花繚乱の様相を呈した「劇場公開されない映画」。俳優・脚本家・演出家など数多の異才が去来し、正当な評価を受けぬままに早すぎる死を迎えていった。「キネマ旬報」誌や「映画芸術」誌、「図書新聞」で長年にわたりVシネマ 評、映画評を手がけ、業界の盛衰を見届けてきた著者が刻む、うずたかく積まれた「死」の記録。 Vシネマとは何か。一九九〇年代に狂い咲いた徒花のような、映画と呼ばれない映画のことだ。劇場公開されないことから「映画ではない」とされてきた。だが映画である。実際には、アリバイ作りも含めて劇場公開されたものも多い。紛れもなく映画であった。レンタルビデオ店が消え、ネットシネマが現れ、その存在があったことさえ忘れられ、関わった人間たちは、無数の非業の顛末を辿っていった。この本は、今さらながら、彼らへのレクイエムである。(「プロローグ」より) はじめに〜死情 プロローグ 萩原流行を知っているか その1 淀川長治〜映画評論家の慟哭 その2 我王銀次〜間違いなく生きている その3 西村潔〜死ぬにはまだ早い その4 可愛かずみ〜魅入られたアイドル その5 小池要之助〜やるせないブルース その6 池田敏春〜黒い冬のクロニクル その7 橋場千晶〜タッチ・バニシングポイント その8 山田辰夫〜サンダーロード・ライダー、死んだあの日のこと その9 桜塚やっくん〜ケジメにもならない その10 南木顕生〜あいつのいない劇場 その11 持永昌也〜最後の友を待つ その12 Vシネマの青春〜無頼人別帖 その13 根室さん〜訃報を自らの手で配っていた その14 北村広一〜こんな男がいた その15 菅原文太〜その死 エピローグ 友よ、さらば あとがき
- ISBN:
- 9784831516244