
フローレンス・ナイチンゲールといえば「戦場で瀕死の兵士を看病した看護師」であり、「白衣の天使」「ランプを持ったレディ」という定番イメージがあります。しかし伝記に描かれたナイチンゲール像は時代とともに変化してきました。かつては「聖母」「女らしい優しさ」「献身」「博愛」など、社会規範・ジェンダー規範のお手本とされてきた彼女は、やがて「自立した女性」「行動家」「信念の人」へと、そして目的のためには手段をいとわない「戦う烈女」へと変貌を遂げたのです。 本書では古今東西の大人向け・子ども向け伝記、サブカルチャーなどを通して、ナイチンゲールの虚像と実像について考察します。 フローレンス・ナイチンゲールと伝記……中島俊郎 ナイチンゲールはなぜ看護の道を選んだのか─明治〜昭和初期のナイチンゲール伝の記述から……松野修 伝記に描かれたナイチンゲール像─昭和初期から戦後まで……山崎麻由美 ヒロインの条件─子ども向け学習マンガに描かれたナイチンゲール像の変遷……山中千恵 “狂戦士”ナイチンゲール、現る─マンガやゲームに描かれる現代のナイチンゲール像……けいろー 創作講談でナイチンゲールを「人びとのために戦う烈女」として語る……加納佳代子 [創作講談]烈女フローレンス・ナイチンゲールから今に引き継がれる看護……加納塩梅 子ども向け伝記『ナイチンゲール』への取り組みを振り返る中で見えてきたこと……宮本眞巳 [子ども向け伝記]ナイチンゲール──たくましく美しく看護の道をひらいた人……宮本真巳 [コラム]ナイチンゲール誓詞に違和感を覚えますか?
- ISBN:
- 9784818024205