
好評既刊『ダイムノヴェルのアメリカ』(読売新聞・日経新聞等書評)の姉妹書! 19世紀後半のアメリカに大量に出現した「ワーキングガール」たち。 彼女たちは、生活に必要な最低賃金も支払われない過酷な長時間労働のなかで、 当時、大量に出版されていた安価な「大衆恋愛小説」を愛読していた。 ヒロインが「幸せな結婚」をする「大衆恋愛小説」を愛読した女性労働者たちの意識を探り、「ワーキングガール」の歴史的・社会的・文化的背景を明らかにする。 「ワーキングガール」を読者対象にした安価な「大衆恋愛小説」を軸に、文学史からこぼれおちた「大衆と読書」の関係を浮き彫りにする。 ◉目次内容◉ 第1章 ワーキングガールの物語 新ジャンルの物語/ 犠牲者としての女性労働者/ 「くだらない小説を書く有名作家」/ 週刊物語新聞からダイムノヴェルへ/ 本を買う楽しみ、本を借りる楽しみ/ 「アメリカには若い娘に仕事がある」、など 第2章 ワーキングガールの物語の原型を求めて 映画『ワーキング・ガール』とリビーのワーキングガール/ 元祖ワーキングガールの物語『パメラ』/ 偽装結婚のモチーフ/ 家庭小説からワーキングガールの物語へ/ 「おてんば娘」の系譜/ ワーキングガールと観劇、など 第3章 世界をめぐるロマンス 階級をこえる「真実の愛」への夢/ ブレイムからリビーへ/ 労働者階級向けのロマンス/ コスチューム・ロマンスの系譜/ ファッションとフィクションの消費者であること/ 性格より「見た目」、など 第4章 ワーキングガール(働く女性)からワーキングガール(売春婦)へ 売春婦への道/ 大都市の危険性/ オルコットと工場労働/ 「売春の世紀」/ 恋をもてあそぶワーキングガール/ 「働く女性のクラブ」/ 上流階級出身者の描いたワーキングガール/ 社会福祉家のロマンス批判、など 第5章 読者としてのワーキングガール 厳しい現実を忘れるための読書/ 『若草物語』は「ストーリーじゃない」/ メディアとしてのロマンス/ 移民女子労働者にとっての読書/ ロマンスの事件性と連続性、など 第6章 ワーキングガールの物語のパロディとしての『シスター・キャリー』 都市へ向かう「田舎娘」/ ヒロインの特徴と「愛と金」をめぐるテーマ/ 運命の逆転と「適者生存」/ 「純粋で正直な少女」と「新しい女」/ 「幸せ」の探究/ジャーナリズムの扱い/ 『シスター・キャリー』で言及される人気小説と演劇、など
- ISBN:
- 9784779170423