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女性器切除と「ゼロ・トレランス」をアフリカの現場から深く考える 地球上で1億人以上の女性が受けている「女性器切除(FGM/C)」. 国連は総会決議で完全廃絶を働きかけているが, こうした「ゼロ・トレランス(どのような方法, 形式であれ一切許容しない)」には, 女性の身体と権利を擁護する力がある一方で, 現場で生きる「声」を外部からグローバルな力で消去してしまう落とし穴がある. 女性器切除「絶対否定」の多面的なあり方を, 現場から深く考察し, 複雑で困難な問いと正面から向き合った学際的で論争的な共同研究の成果. 松田素二(京都大学教授)   Introduction グローバル・ディスコースとアフリカの女性器切除 1 WHO による定義と施術タイプおよび実施地域 2 用語について 3 欧米社会による廃絶運動と政治・経済 4 禁止法の制定とその反動 5 国連による「医療化」の禁止,そして「ゼロ・トレランス」へ 6 各章の内容 Chapter 1 女性器切除は女性の身体・心理にいかなる影響 を与えるのか? ─ 近年の生理学・心理学的研究の検討を通して ─ は じ め に 1 FGM の身体への影響 2 性機能に対する影響 3 心理的影響 お わ り に ─ FGM/C の医学的・心理学的リスクをどのように考えるべきか ─ Column 1 男子割礼/包皮切除 Chapter 2 国際社会のルールと家父長制社会の規範 ─ ゼロ・トレランス政策を超えて ─ 1 ゼロ・トレランスの打開策 2 ゼロ・トレランス政策の限界 お わ り に Chapter 3 変容する「女子割礼(FC)」 ─ 西ケニア・グシイにおける医療化と儀礼の変化 ─ は じ め に 1 グシイにおける通過儀礼としての FC 2 KDHS から見る FC の変遷 3 グシイ地域における反 FGM 活動とその影響 お わ り に Column 2 現代における「美容整形」という女性器切除 宮地歌織 Chapter 4 草の根の FGM/C 廃絶運動と地元住民 ─ ケニア・マサイの事例から ─ は じ め に 1 ローカル社会における FGM/C 2 ナロクの CBO による FGM/C 廃絶運動 3 CBO の役割と地元住民とのかかわり お わ り に Chapter 5〈女子割礼/女性器切除〉をめぐる多様性と柔軟 性のエスノグラフィー ─ ケニア牧畜社会における FCM 廃絶運動の功罪とローカ ル社会の反応 ─ は じ め に 1 サンブル社会における FGM/C の意味づけ 2 サンブルの人びとの廃絶運動への反応 3 廃絶運動の功罪 お わ り に ─ ローカル社会の当事者とグローバル・ディスコースとの齟齬 ─ Column 3 ケニアにおける FGM 禁止法への異議申し立てと人びとの反応 Chapter 6 スーダンにおける FGC 廃絶運動の系譜 ─ 宗教が果たした役割に着目して ─ は じ め に 1 イスラームと FGC 2 スーダンにおける FGC の歴史の変遷 3 バシール政権下での FGC お わ り に Column 4 FGMというカテゴリー ─ どう捉え,どう向き合う?-

Price¥1,980
出版情報晃洋書房宮脇 幸生/戸田 真紀子/中村 香子/宮地 歌織

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