
名門の夫を望めない孤児の私が、 王子様に恋してしまうなんてーー。 亡き母の出自を知るために、三つ子姉妹はロンドンへ向かっていた。 道中、宿で次女イゾベルが中庭を散歩していると、金髪の男性が現れた。 「おお、黄金のアフロディーテよ!」芝居がかったしぐさで一礼する。 酔っているらしい。イゾベルは唇を引き結んだ。「通してください」 「キスと引きかえでどうだ? ぼくはプリンスだ」質素な服のせいで、 メイドだと思われたのだ。「プリンスはキスを迫ったりしませんわ」 イゾベルは慌てて逃げだした。不躾な人! でもとてもハンサムだった。 数日後、彼女はあろうことか、ロンドンの王妃の謁見の間で彼と再会する。 彼ーークラウディオ王子は三つ子姉妹の顔を見比べ、イゾベルに言った。 「はじめまして」と、意味ありげな表情で。 ああ、私ったら、本物のプリンスになんてことをしてしまったの! RITA賞受賞作家キャサリン・ティンリーの『子爵と出自を知らぬ花嫁』に続く出自不明の三つ子姉妹“ベルたち”を描く3部作の第2話です。爵位のある夫との結婚など夢のまた夢だったのに、正真正銘の王子様が、次女イゾベルを見初めてーー!?
- ISBN:
- 9784596570376