
明治の開国に伴い、外国人によって発見された日本の文化・文学。 まなざしは西から東へと注がれ、日本人もまた、東から西を見つめた。 自国と異国の差異を経験し、演劇、小説、落語そして舞踊と多様なジャンルで、個々の葛藤や発見を昇華させた日本人たち。 文明開化以降、外国人はどのように日本の文化・文学を紹介し、また日本人たちはどのように日本文化の枠組みの中で、西洋文化を摂取していったのか。 明治、大正、昭和、そして戦争を経て、現代まで続く人々の、日本文化・文学の葛藤と発展を読み解く。 まえがき◉式町 眞紀子 第一章 古い人を脱ぎ捨て、新しい人を身に着けるーチェンバレンと能『殺生石』◉式町 眞紀子 第二章 明治期におけるディケンズの『若夫婦に関するスケッチ』翻訳受容◉水野 隆之 第三章 文明開化と三遊亭円朝 人情咄「蝦夷錦古郷の家土産」 ー原作『新・堕ちた女の物語』(ウィルキー・コリンズ作)と比較して◉閑田 朋子 第四章 グレイと漱石、セリマと「吾輩」◉菅野 智城 第五章 踊る山田耕筰ーイザドラ・ダンカンの舞踊思想に魅せられて◉蒔田 裕美 第六章 一九一〇年代のロンドンと坪内士行の観劇体験ー音楽劇を中心に◉赤井 朋子 第七章 帝劇女優・森律子の秘められた意思ー矛盾を解消する異文化接触◉藤岡 阿由未 第八章 島崎藤村の「分配」再評価ーラスキンの格言を通して見えてくるもの◉塚田 英博 第九章 大岡昇平『ハムレット日記』改訂と「オフィーリア埋葬」の意味◉石塚倫子 第十章 世界に突然現れる謎の鳥たちー筒井康隆「ジャップ鳥」と一九七〇年代の日本◉河内裕二 第十一章 ユートピア探しと物語探しー井上ひさしとオルダス・ハクスリー◉加藤 千博 あとがき◉河内裕二 年表 執筆者一覧
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- 9784585390329