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19世紀イギリスのミリオンセラー『ビートン夫人の家政書』によると、社交界では家庭の主婦が集まれば使用人の愚痴に夢中になったという。では、それはどんな愚痴だったのか? 本書では、伝統的な使用人がどのように文学作品に表われているかを考察しつつ、使用人についての記録やハンドブックなどを参照して、イギリス文化と文学における使用人のイメージとその実態(と、愚痴の生まれる社会的背景)を比較分析する。 下男の章で、ディケンズ『荒涼館』に登場する刑事が、屋敷の下男に対する聞き込みの際に、「下男にとって理想的な出世コース」をたどった父親の話をして親近感を抱かせる話が紹介されるが、Uブックス化にあたって新たに追加された「『使用人』ではない被雇用者たち」の章では、オースティン『自負と偏見』で、ウィカムがリジーに対して父親のまさに同じような話をして取り入るくだりが解説され、興味深い。 はじめに 第1章 執事ーー旧約聖書からハリウッド映画まで  第2章 ハウスキーパーーー愛しすぎた女性たち  第3章 料理人ーー「きまぐれ」が歓迎されるポスト  第4章 メイドーー玉の輿はありかなしか  第5章 従僕と下男ーー孔雀の出世  第6章 乳母ーー影の実力者  第7章 ランド・スチュワードとガヴァネスーー「使用人」ではない被雇用者たち あとがき 引用文献

Price¥1,760
出版情報白水社新井 潤美

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