
韓国社会における高学歴女性の専業主婦化は何を意味するのか。個人の合理的選択が家父長制と階層の再生産につながる構造を描き出す。 1990年代以降の韓国における社会経済的な変化の下で、ジェンダー規範と当事者の意識・行動が相互作用しながら、高学歴専業主婦という選択が成立した過程を分析。社会構造の変動と女性たちが置かれた状況の変化とともに、韓国の女性たちの選択肢はどのように構造化され、配分されてきたのかを明らかにする。 序 章 「高学歴専業主婦」という現象 1 問題意識と研究目的 2 研究内容と研究方法 3 本書の構成 4 用語の整理 第1部 韓国における社会構造の変化──家族と女性 第1章 韓国の社会変動と女性の労働 1 産業化初期の女性の労働と韓国の近代家族 2 民主化前後の韓国社会と女性の賃金労働者化 3 雇用環境の大転換と職業的階層分化 4 少子高齢化、未婚化・晩婚化 5 小括 第2章 韓国の女性・家族政策の変遷 1 産業化初期の家族政策と労働の統制 2 女性の「労働権」という視点──「男女雇用平等法」の導入と発展 3 ワーク・ライフ・バランスの視点の導入 4 少子化対策としての両立支援政策と労働市場の柔軟化政策 5 養育の再家族化と家族イデオロギー 6 小括 第2部 韓国における主婦の変容と「専業主婦」 第3章 家庭内における女性の地位と役割──一九六〇〜二〇一八年の新聞記事分析から 1 家族関係と女性の役割 2 対象選定と分析方法 3 再生産領域と女性──「家父長」との関係を中心に 4 小括 第4章 働く主婦へのまなざし──主婦の労働をめぐる言説とその歴史的経路 1 韓国における主婦と再生産労働 2 研究方法と対象選定 3 一九六〇〜一九八〇年代──「主婦化」における特徴 4 一九九〇年代以降──市場労働/再生産労働の意味づけの変容と「専業主婦」 5 小括 第5章 教育する母 1 韓国における母親の「子どもの教育」 2 対象選定と分析方法 3 子どもの教育における役割の変化──「母親の成功物語」化 4 教育する母──高学歴専業主婦の「自分らしさの探求」 5 小括 第3部 専業主婦という選択と家父長制 第6章 「専業主婦」という選択と社会構造 1 「高学歴専業教育マム」という地位 2 経済的不平等の拡散と階層ごとの主婦の型 3 小括 終 章 構造化される選択──ミクロとマクロの視点から 1 専業主婦という選択 2 家父長制と構造化される選択 3 本書の意義と課題 あとがき 参考文献 人名索引 事項索引
- ISBN:
- 9784326603336