
慈愛と破壊、母性と処女性……相反する属性を宿す生き神クマリ。 人々を救い、国王をも跪かせる霊力を持つという処女神の全貌とは? 少女がダライ・ラマのように転生するという、ネパールに実在する生き神・クマ リ。今なお人々に崇敬されるこの処女神の実態に迫り、その源流をたどりつつ、日 本の観音菩薩にも繋がる大女神信仰の系譜を解き明かす。謎の探究と旅の記憶が交 錯する、知的興奮の書。 〈もちろん、「人間が同時に神である」とは不条理な言説である。しかしなが ら、彼女ら一人ひとりの力によって、いかに多くの人々が救われてきたかをも考慮 しなければならないだろう。いまこそ逆に、それを持たないわれわれの社会の不幸 についても議論すべき時期なのではなかろうか??〉[本文より] <プロフィール>植島 啓司(うえしま けいじ) 1947年東京生まれ。宗教人類学者。東京大学卒業。東京大学大学院人文科学研究科 博士課程修了後、シカゴ大学大学院に留学、ミルチャ・エリアーデらのもとで研究 する。NYのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授 などを歴任。著書に『聖地の想像力』『世界遺産 神々の眠る「熊野」を歩く』『日 本の聖地ベスト100』『偶然のチカラ』など。
- ISBN:
- 9784087715644